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8/19/2022

Chapter 15  >>


15.知りたいこと

「それでは、お二人はずっと冒険者を?あの冒険者っていうのが何をする人なのかもよろしければ教えていただけると」
「そうだな十年近く冒険者をやっていたな。冒険者ってのは、ギルドからの依頼を受けて遺跡の探索をしたり、魔獣の討伐をしたり、護衛のようなこともしたりするな。まぁ、腕っ節で稼ぐ何でも屋みたいなもんだ」
「そんな危ない仕事を十年もですか、お二人ともお強いんですね」
「まぁそれなりにな、この腕になっちまったから引退したが冒険者時代は本当に楽しかったぞ?」


この話題に触れていいのかどうかずっと考えていたのだがもし聞くのであれば今しかないと勇気を振り絞り尋ねてみた。


「あの、差し支えなければでいいのですがダグラスさんの左腕とゲイルさんの左足のことをお聞きしても?」
「ああこれか、そういや話してなかったな。俺のこれとゲイルの足は五年ほど前だったか?依頼された魔獣討伐の際にちょっとやらかしちまってな」
「狂ったドラゴンが討伐対象で援護に回るはずだった者が周りの雑魚に不意打ちで殺られてしまったんだ。援護なしの二人で戦うには流石にドラゴンは相手が悪かった。なんとか倒したがダグは左手を失って、俺は左足がほとんどちぎれかけていた。俺の足は治癒術をかけてもらってなんとか見た目だけは元に戻ったが、完全に元にはもどらなくて後遺症が残ってしまっている」
「それで冒険者を引退されたのですか?」
「ああ、残念だったがさすがに片腕になっちまったらな……まぁ、あの状況で命があっただけ儲けもんだ。それで色々あって今は冒険者ギルドで働いてるってわけだ」


そう言いながら、無くなってしまった左腕を見つめるダグさんの顔は少し悲しそうだった。
ゲイルさんにも目を向けたが少し悲しそうに微笑まれた。
二人ともやはり冒険者に未練があるのではないだろうか?
ギルドタグを見る限り、戦闘力もとても高そうだった。
もし、あの手と足さえ治すことができれば……。


「辛いことを思い出させてしまってすみませんでした……」
「いやいや気にすんなって、まぁそれなりに今の立場も楽しんでるしな。それにそのお陰でチカに出会えたわけだし」


ダグラスさんはこちらに向かってウインクをしてくる。
フェロモンあふれる男前がやると様になるなぁ……ドキッとしてしまった。
きっと顔は真っ赤になっていると思う。


「それでチカ、他に聞きたいことはないのか?」
「それでは、この世界のことなんですが隣の国がレオニダスという獅子族の国というのはわかったのですが他の国のことも教えていただければと」
「そうだな、とりあえず今俺達がいるこの国がキャタルトンで猫族が治める国だ。この国だけは奴隷制が残っている。あまり国として安定しているとはいえないな。治安も良くなければ、目立った産業もない。王族が内輪もめをおこしているからな」


そう言うとゲイルさんもダグラスさんも顔をしかめていた。


「次にダグと俺の出身国のレオニダスだな。キャタルトンからは西にあって大陸の中央に位置する。かなり裕福な国といっていいだろう。主な産業は各国との鉱石や宝石などの資源の貿易と工業に農業だな」
「まぁ今のところ親父や兄貴が頑張ってるからな」
「レオニダスの北に位置するのがドラグネア、竜族の治める国だ。正直この国は他の国との国交がほとんどなくて鎖国状態だ。その実態はよくわかっていない。そもそも竜族は個体数が少ない希少種で、あまり多種族との付き合いを好ましく思っていない節がある。その逆で南に位置するのがフィシュリードここは、半魚人などの水に住むことを好む生物の国だ。常に温暖な気候で主な産業は漁業や調味料などの食品関係だ。ここまで大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。あの竜族というのは肌にウロコのある人達とは違うのですか?」


性奴隷だった時にそういった人たちも店にはよく来ていた。
嗜虐的な趣味の人が多くて相手にするのはとても辛かったが……。


「ああ、それは多分蜥蜴族や蛇族のものたちではないだろうか?竜族は肌にウロコはないが、胸元に竜玉と呼ばれる玉が埋まっているはずだ」
「なるほど、全く別の種族なんですね」
「それじゃ最後の国だ。レオニダスから西にあるのがウルフェア、狼族が治める国だ。ここは国ということになってはいるが実態は狼族がいくつかの群れごとの集団になって点在して暮らしている。主な種族の狼族達は森の中で自給自足の生活だ。その国の領土の中で他の種族が各地に町を作って暮らしている。産業としては木材などの輸出だなこれも主に狼族以外のものが担っている。種族の分布としてはそうだな、竜族と水棲以外の獣人はどの国にも満面なくいると思っていい。妖精族とエルフはウルフェアに、ドワーフはレオニダスに多く住んでいるな」


満遍なく分布しているということは、王族の種族と国の種族は直接関係ないようだ。
しかし、獣人だけでも充分驚いたのにエルフやドワーフまで存在しているとは思わなかった。


「他にも小国はいくらでもあるがきりがないんでな」
「ありがとうございます、とてもよくわかりました。聞く限りレオニダスだけ頭一つ抜けて裕福な感じがしますね」
「まぁ実際そうだな、文化的にも技術的にも多分一番発展しているのはレオニダスだ」


そんな国の王弟の膝の上に自分は今乗っている……。
つい顔をあげてじっと見つめてしまう。


「ん?どうしたチカ?あれかキスでもして欲しいのか?いいぞ?」
「ちっ違います!」


慌てて顔をゲイルさんの方にむける。


「あの、『番』とか伴侶についても詳しいことを教えていただけると助かるなーと……」
「ああそうだな、『番』については昼にも説明したがまずお互いの魔力の相性が非常に良い存在だ。そして俺達のような獣人にとって『番』は本能的に求める相手--魂が『番』のことを求めると思ってくれても構わない。だから、俺とダグにとってチカは命を賭けてでも守るべき大切な存在なんだ」
「命を賭けてってそんな……」
「いやそうなんだぜ、チカ?俺達にとってお前は替えの利かない唯一無二の存在なんだ。一度見つけてしまった『番』を失ってしまえば下手をすれば俺たちは狂っちまう。だから俺たちはもうお前を手放してやることは出来ない、すまねぇとは思うがお前が嫌がろうとな」


ゲイルさんもダグラスさんも表情は真剣そのものだった。


「いえ、嫌だなんてことはないのですが……。『番』と伴侶はイコールというわけではないのですか?」
「昼間、俺とゲイルがお願いしてぇことがあるっていってたのはそのことなんだ。チカは、すんなりと伴侶となることを受け入れてくれたからその必要もなくなったんだが……。まず、獣人同士の『番』の場合は、お互いにどうしようもなく本能的に求めあっちまうからな、確実に伴侶になるといってもいい。だが獣人に比べて他の種族、ヒト族やエルフ、ドワーフは『番』に対する欲求というものが弱い。獣人から一方的に求めても相手がそれに応えてくれなければ伴侶にはなれねぇ、アニマの獣人で『番』から拒絶された場合は本当に悲惨だぞ?相手は一人しかいない『番』、心の奥底から求めているのに相手はそれに決して応えてはくれねぇんだ。そうなると狂って死んじまう奴も多い」
「なし崩しにチカに伴侶になることを認めさせてしまったがチカは後悔していないか?」


ゲイルさんの大きな手が私の手を包み込む。


「いえ、後悔はしていません。むしろ私で本当に良いのかと思っているぐらいですから。まだ、お会いしてほんの数日ですがあの地獄から救っていただいたお二人には本当に感謝していますし……それに、お二人のことを……あの……好……好っ……好きなんだと思います」
「チカ、お前は本当に可愛いなぁおっちゃんお前のことすぐにでも食っちまいてぇぞ……いや、愛してるぞ」
「俺もチカのことを愛している」
「ふっ、ふつつかものですがよろしくお願いします」


深々と頭を下げて、定番の台詞を言ってみた。
まさか自分がこの台詞をいうことになるとは思ってもみなかったが。


「それで伴侶の役割というのは何をすればいいのでしょうか?」
「特に何をするっていうのはねぇんだが、俺達にとっては嫁だからな。ほら、こう一緒に寝たりだな、まぁ子作りを許してくれればこちらとしてはありがたい限りだが」
「こっこっこっこっ子作りですか!?」
「いや、チカまだそこまで考えなくていい。それでなくても君はこちらの世界の人間に無理強いをされてひどい目にあっている、その傷が癒えるまで俺はゆっくり待つつもりだ」
「ちっ、ゲイルはお堅いからなぁ……。だがチカ、俺も無理強いをするつもりはねぇから安心しろ。お前が俺たちを受け入れてもいいと思うまでもちろん待ってやるよ」
「ありがとうございます、でも私はお二人なら……」


最後まではっきりと二人に告げることはできなかった。


「あとはまぁ書類上の証明だな、伴侶としての届けを出して認められるとそれがギルドタグにも登録される。伴侶を持つアニムスを襲ったりすれば厳罰に処されるし、その伴侶のアニマから何をされても文句はいえない。最悪殺されることになってもだ、伴侶になることで俺たちがチカを守ってやりやすくなる。こんなところだな」
「届け出は俺達が出しておいてやるよ、ギルドにはそういう窓口もあるからな」


最後にこれからの自分のことについて二人に聞いておくことにした。


「はいお願いします、それと……ですね。これからなのですが私はこのままここでお世話になってもいいのでしょうか?」
「当たり前じゃないか。もうここは、チカの家でもあるんだ遠慮はするな」
「何からなにまで本当にすみません、家のことや料理などはもちろんさせていただこうと思っているのですが、他に外で私が働けそうなところというのはないでしょうか?」
「チカ、無理に働く必要はねぇんだぞ?俺たちだけでお前を充分に養ってやれる」
「そうなのかもしれませんが、お二人に頼ってばかりだと何もできなくなってしまいそうですし……。この世界のことを知るためにももし何か私に出来ることがあるならやってみたいんです」
「そこまでチカが言うなら考えてみるが、ただ俺達の目の届く範囲には居てくれよ。まだ自覚はねぇと思うがチカ、お前のその容姿はこの世界では本当に珍しいものなんだ。いつまた攫われるとも限らねぇ」
「ならギルド内で出来る仕事がいいんじゃないか?チカには治癒術の適性もあったようだし、ミンツに相談すればなんとかしてくれるだろう」
「そうだな。チカもそれでいいか?」
「はい、もちろんです。無理を言ってすみません」


やはりどうしてもただ何もせずお世話になることには抵抗があった。
もし、私のような異世界人でも働き口があるのなら働いてみたい。


ダグラスさんとゲイルさんは互いに苦笑していた

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